住宅家賃が上がっている

家賃が上がっている。

それも住宅の家賃がジリジリと上がっている。

この仕事を30年以上してきたが、こんなに住宅賃料が上がるのは記憶にない。

 

これまでも、局地的にはあったのだろうが、都市部も郊外も、単身住宅もファミリー向けも、それも、みんながそれを許容しだしている空気感がある。

ただし、入居中の物件は、そう簡単には家賃の値上げには応じてもらえない。

そういう入居者中の物件は、退去してくれたら家主にはありがたい。

次の募集から家賃が上げられるからだ。

 

それに比べれば、新築の賃貸住宅は、募集家賃を高く設定しやすい。

もちろん新築の賃貸住宅は、設備は最新のものがついているし、セキュリティもしっかりして魅力的だけど、理由はそれだけではない。

いまは、新築の分譲マンションも高くて買えないから、しばらくは賃貸住宅に住もうという人も多いらしい。

億ションは雲の上の世界というのは、昔の話しにで、首都圏では新築マンションの億超えは当たり前の時代である。

マンションは高くて買えないし、住み替えしやすい賃貸マンションの人気が上がっている。

それも賃料が上がっている理由のひとつで、マンションデベロッパーも賃料の上昇には、一役かっているのである。

 

また、マンションデベロッパーのほとんどが、賃貸マンションも建てて、投資家向けに販売したり、自社が運用するJリートなどに卸している。

でも、いまは土地は高いし、建築費は高いし、利回りもこれ以上は下げられないので、デベロッパーも採算に合わなくなってきている。

そこで、あとは賃料を上げるしかない。

 

自分で自分の首を締めているようだが、今から土地を仕込んでも、建物が竣工するまでの数年かかるし、それまでには、さらに賃料は上がるだろうという目算で、彼らはまだまだ土地を競って買っている。

2024年問題で建築工期も以前より長くなっていることもこれ幸いと思って、その間には更に賃料が上がるだろう読んでいるようだ。

なんでも前向きにとらえれば、なんとかなりそうな気もしてくるものだ。

 

彼らはどんな風が吹こうと、止まる事は許されないから、あれこれ理由を探して、賃料は鉛筆を舐めてでも無理やり事業計画を作り、それでも土地を買い続けなければならない。

 

ちなみに鉛筆の芯は黒鉛でできている。

健康被害の報告はないものの、食品ではないので口には入れないでください、と、トンボ鉛筆さんも言っているので、あまり鉛筆を舐めるのは推奨しない。

 

デベロッパーが競って土地を買うから、また土地も上がり、マンションも上がり、家賃も上がる。

デベロッパーとは常に前進あるのみの大変な仕事なのである。