1種いくら?

不動産業界では、土地の単位は、いまだに「坪」を利用することが多い。

もちろん、契約書や重要事項説明書、広告表示などは「㎡」を表記する。

現代では、メートル法を使用するのがあたりまえなのに、いまだに、土地の大きさは「坪」で表現したほうが、イメージしやすい。

 

ほかにも、不動産業界で使う独特な単位価格がある。

「1種いくら?」、「1種100万円」という単位価格だ。特にデベロッパーがよく使う。

これは、嚙み砕いて言うと、

「坪単価を容積100%あたりで割るといくら?」という意味になる。

たとえば、容積率が300%の地域で、坪300万円なら、「1種100万円」という意味だ。

土地は、利用され、収益を生んで、はじめて価値がある。

ある土地が更地で利用されるより、建物をたて、土地面積の何倍も利用できれば、収益性があがり、その土地の利用価値は上がり、土地価格は上がる。

では、いくらでも無秩序に無制限に建物を建ててよいかというと、そんな荒れた世紀末ではない。そんなことを許すと、恐るべき一子相伝暗殺拳が誕生する。

街の美観、防犯、安全、衛生、交通など、あらゆる面でも不都合がおきる。

そこで都市計画が重要になり、容積率という土地の利用限度が定められている。

住居系の地域では、容積率は低く抑えられているが、商業系の地域では、高く緩和されている。当然、土地の坪単価は、住宅地より商業地が高くなる。

 

ここで疑問が残る。

では、なぜ、「100%あたりいくら?」と言わないのか?

そもそも、世間はとっくにメートル法なのに、なぜ「坪」なのか?

 

ちなみに、「1種いくら」という単位価格は、昭和46年以前の「容積地区」からきている。

昔の容積地区というものは、第1種容積地区~第10種容積地区まであって、それぞれ10分の10以下~10分の100以下とされていた。

すなわち、第1種容積地区は、いまの容積100%で、第2種容積地区は200%だった。

1種ごとに100%ずつ増えていくから、1種いくら?とは、容積1種(100%)あたりでいくらか?と言う意味で、これを令和の現代も使用しているというわけだ。

 

まあ、メートル法も、明治24年の度量衡法でメートル法が公認されてから、平成5年の新計量法まで完全施行されるまで、100年以上かかっている。

それでも、いまだに、尺貫法の「坪」が使用しつづけれらている。

単位を変えるのは、なかなか時間がかかるものである。

 

そういえば、ゴルフの世界でもヤードを使用する。

私の場合、残り100ヤードといえばPWを持つが、残り100メートルと言われたら少し困惑する。

100y=約91mだから、100mだと、PWでフルショットか?

それとも、9Iでコンパクトに振るか?

どちらにしても、迷いでスイングが乱れ、ダフッて手前のバンカーか、トップしてグリーン奥の左足下がりのラフにボールはあるだろう。

そして、グリーンまわりの悲劇は繰り返される。

やはり、使い慣れた単位は、そう簡単には変えられないのである。