不動産利回りで、一番シンプルなものは、「年間収入」÷「物件価格」である。
これを、「表面利回り」と言ったり、「グロス利回り」と言ったりする。
しかし、不動産を運用するにはさまざまな支出もある。
共用部分の清掃、エレベーターの保守費用、消防設備があれば定期的に点検しなければならないし、設備に応じて保守メンテナンス費用がかかる。
入居者やテナントの家賃回収や滞納の督促なども管理会社に依頼すれば、管理委託料がかかる。これは家賃の3%~5%が相場だ。
また、不動産は持っているだけで、固定資産税や各種保険がかかる。
家賃収入から、不動産を維持管理する費用を引いて残ったものを「NOI」という。
NOIとは、Net Operating Incomeの略で、これで物件価格を割ったものを、頭の「NET」だけとって、「ネット利回り」とかいう。
(ちなみに、このNOIには、税金上の減価償却費は考慮しないのが一般的)
表面利回りが高い物件でも、設備の保守やメンテナンスに想定以上に費用がかかる物件だったら、ネット利回りは悪くなる。
また、比較的に戸数の少ない物件より、大型の物件のほうが、表面とネットの開きが小さい傾向があるし、住宅物件よりオフィス物件のほうが、ビルメンテナンスに費用がかかるから、表面利回りが良い割にネットの収入は低くなる。
これら以外でも、入居者が退去したら原状回復工事の費用が必要になる。
賃貸業者に募集を依頼したら、入居がが決まれば手数料もかかるし、頻繁に入居者の出入りが激しい物件は、稼働率も考慮しておかなければいけない。
(稼働率について詳しくは、投資用不動産の稼働率を参照)
物件によって、思わぬ費用がかかる場合もあるし、長期的な修繕も計画しておかなければならない。一概に「利回り」といっても、物件によってさまざまであり、同じものが二つとないのが、不動産は奥が深くて面白いところなのである。